持続可能な介護保険制度を
<介護保険料の大幅な負担増>
3月9日に閉会した練馬区議会第1回定例会において、「練馬区介護保険条例の一部を改正する条例」が提出され、第5期介護保険事業計画(平成24~26年度)における第1号被保険者の介護保険料が決まりました。
介護保険の被保険者は第1号被保険者(65歳以上)と第2号被保険者(40歳~64歳)に分かれており、第1号被保険者の保険料は、介護を要する総費用をもとに、区市町村ごとに基準額が決定され、自治体の裁量で所得等に応じて保険料額が決められます。
第4期(平成21~23年)における基準月額保険料は3,950円でしたが、第5期に移行するにあたり、介護保険利用者の大幅な増加に伴う自然増、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム等の介護施設充実に伴う増加などに加え、第4期において国から交付されていた介護従事者処遇改善臨時特例交付金の廃止、さらには第4期の当初ベースで35億5,200万円あった介護保険給付費準備基金が5期においては3億7,100万円しかないことなど、保険料を押し上げる要因が重なり、第5期における基準月額保険料は5,240円と1,290円も上がることになりました。
表1のとおり、練馬区の所得等を基準とする保険料の段階は、第1段階(生活保護受給者・老齢福祉年金受給者で世帯全員が特別区民税非課税)から第12段階(1000万円以上の所得)の12段階に分かれており、5,240円の基準月額保険料に段階ごとに決められた保険料率(第1段階0.50倍~第12段階2.20倍)を乗じた金額が各段階の保険料になります。今回の値上げにより、第1段階で月額650円(年額7,740円)、第12段階で月額4,410円(年額53,020円)と平均で3割を超える大幅な負担増となります。
また、第4期から第5期までの移行にあたり、保険料率(基準額に対する割合)については、第1段階から第5段階については据え置かれましたが、第6段階以降は引き上げられ、例えば、所得125万円以上200万円の未満の第6段階で月額1,650円(年額19,840円)、125万円以上200万円未満の第7段階で月額1,940円(年額23,270円)の負担増となっています。
表1<第5期介護保険料の段階設定> ※( )内は第4期
段階 |
対象者 |
保険料率 |
保険料年額(円) |
1 |
生活保護受給者または老齢福祉年金受給者で世帯全員が特別区民税非課税 |
0.5 (0.5) |
31,440 (23,700) |
2 |
世帯全員が特別区民税非課税で、本人の課税年金収入額と合計所得金額の合計が80万円以下 |
0.5 (0.5) |
31,440 (23,700) |
特例3 |
世帯税員が特別区民税非課税で本人の年金収入額等が80万円を超え120万円以下 ※第5期で新設 |
0.6 (0.6) |
37,730 |
3 |
世帯全員が特別区民税非課税で、第2段階に該当しない |
0.7 (0.7) |
44,020 (33,180) |
特例4 |
本人が特別区民税非課税で世帯に課税者がいる かつ |
0.8 (0.8) |
50,310 (37,920) |
4 |
本人が特別区民税非課税で世帯に課税者がいる かつ特第4段階に該当しない |
1.0 (1.0) |
62,880 (47,400) |
5 |
本人が特別区民税課税で、前年の合計所得金額の合計が125万円未満 |
1.1 (1.1) |
69,170 (52,140) |
6 |
同 125万円以上200万円未満 |
1.22 (1.2) |
76,720 (56,880) |
7 |
同 200万円以上300万円未満 |
1.35 (1.3) |
84,890 (61,620) |
8 |
同 300万円以上400万円未満 |
1.49 (1.4) |
93,700 (66,360) |
9 |
同 400万円以上600万円未満 |
1.65 (1.5) |
103,760 (71,100) |
10 |
同 600万円以上800万円未満 |
1.82 (1.6) |
114,450 (75,840) |
11 |
同 800万円以上1,000万円未満 |
2.00 (1.7) |
125,760 (80,580) |
12 |
同 1,000万円以上 |
2.20 (1.8) |
138,340 (85,320) |
<制度の抜本的見直しが急務>
今回の保険料率見直しにあたっては、比較的所得の高い段階の料率をさらに上げることや、13段階(1,500万円以上)を設けることなども検討されたようですが、第12段階(1,000万円以上)の構成比は全体の4.7%に過ぎず、第1号被保険者(65歳以上)としては比較的高所得と考えられる第9段階以上(400万円以上)でみても8.3%のため、これらの料率を上げても他段階の料率を下げる効果は限定的で、また、いかに高所得とはいえ、第12段階の増加率は60%を超えており、あまりに急激な料率上げは理解を得られないとの判断もあったようです。
いずれにせよ、第1号被保険者(65歳以上)の方々が子育等に一段落がついた世代とはいえ、例えば125万円から200万円の所得層で保険料が年間7万6,720円というのはあまりにも重い負担で、今後、第6期、第7期と介護保険利用者がさらに増加していくことを考えると、もはや持続可能な制度とはいえません。区においては、とくに所得の低い層に配慮して今後の料率のあり方を精査する必要があり、要介護者を増やさないという観点から「健康づくり」の施策充実も求められるところですが、自治体の対応だけでは限界があり、国庫負担の大幅な拡充を含めた国レベルでの抜本的な制度改革が必要です。
今、国では「税と社会保障の一体改革」の議論が進んでいます。消費税増税を含めて様々な意見が交錯していますが、制度の窓口となる基礎自治体の議会として、持続可能な介護保険制度の構築のために、今後とも声を上げていきたいと思います。
土屋ひとし公式ウェブサイト http://www.tsuchiya.jimusho.jp/
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