9月14日に行われた本会議の一般質問において、民主党・無所属クラブを代表し、倉田れいか議員が日大練馬光が丘病院から日大が撤退を表明した問題について聞きました。
日大光が丘病院の後継運営主体を決める選定委員会は最終段階を迎えていますが、今でも、病院現場や地域住民を中心に日大の運営継続を求める声が強く、16日に予定されている医療・高齢者等特別委員会の場で、区から選定委員会の審査についてどのような報告がなされるかが注目されています。
昨日の一般質問では、日大が撤退を表明した経緯をはじめ、多岐にわたって区の見解を聞きました。とくに私どもが重視したのは、後継医療機関が「日大並み」の医療機能を維持できるのかという点です。
例えば、「日大練馬光が丘病院にかかっている入院患者や外来患者の最大の不安は、多くの医療関係者も指摘しているとおり、もし運営主体が見つかっても、政策医療とされる小児科、周産期、救急等のレベルを後退させなければ、経営は到底できないという見通しですが、公募要項では、医療機能、救急医療、小児医療、周産期医療、災害時医療について「日大並み」のレベルを条件としています。この点について、これまでの病院経営、医療機関を取り巻く諸条件の現在および将来見通しなど、どのように精査された結果なのでしょうか」という質問に対しては、「公募要件の設定にあたりましては、これまでの日大練馬光が丘病院が担ってきた機能を踏まえ、救急医療・小児医療・周産期医療および災害時医療の4つの機能を、地域の中核病院として必要な機能であるとともに、多くの区民が望んでいることから、公募要件で定めたものです」との回答でした。この答弁には医療機能を維持できるかどうかについての言及がなく、この点については、今後の委員会審議等で明らかにしていきたいと考えています。
また、「公募要項には病床数について「現在の許可病床数342床を引き継ぐ」と明記されていますが、これを維持するためには、医師、看護師などの医療スタッフをどの程度集める必要があり、また日大からの人的な支援を受けることが可能なのでしょうか。もし、受けられない場合、現在の病床数を維持するための策はお持ちなのでしょうか」という質問に対しては、「求められる病院機能を維持するための人材確保は、後継運営主体が自ら責任を持って行うことが前提であります。その上で区として必要な支援を行ってまいります。日大練馬光が丘病院に対して、現在病院で働いている医師や看護師などの医療従事者の中で、引き続き勤務を望まれる場合には、後継運営主体に対して協力を求めてまいります。なお、日本大学の人的支援が望めない場合であっても、病院運営が維持できる後継運営主体の選定を行ってまいります」としています。
さて、選定委員会における後継法人の決定は、当初12日ということでしたが、13日の産経新聞に選定が保留になったことが報じられています。現時点ではこの事実関係についての説明を受けておりませんが、選定委員会で何が起きているのか非常に気になるところであり、私どもも独自の調査を行っているところです。
また、今回の一般質問では、※練馬区と日大との間に撤退回避に向けての建設的な議論が行われていなかったことが改めて明らかになりました。いうまでもなく地域医療の空白期間を生まないことが大前提ではありますが、それ以外にも課題は山積です。
今定例会では「地域医療の確保と充実を求める決議」が本会議で可決されたところですが、日大の撤退回避のための方策は本当に尽きてしまったのかも含め、真に区民の命と健康を守るという観点からの議論の必要性を痛感しています。
※9月14日の区の答弁「(撤退回避に向けての話し合いについては)区からは、運営資金の無利子貸付けや建物賃料の免除など支援を用意することが可能なことを提案いたしました。さらに、日本大学の真意を確認するために、区長と理事長のトップ会談の申し入れを行ってまいりました。しかし、日本大学は、当初より交渉の窓口を代理人弁護士とし、かつ、撤退を前提とした交渉に終始したことから、交渉が進展せず、撤退回避に向けての建設的な協議を行うことができませんでした。」
<9月14日日大光が丘病院問題についての質問の全文>
「日本大学は、平成24年3月をもって日本大学医学部付属練馬光が丘病院の運営を終了することを決定した。」と7月15日に日大が発表したこの内容は、病院関係者や光が丘周辺住民だけでなく、区内外に大きな波紋を呼んでいます。
日大が撤退の理由として挙げたのは、長期にわたる支出超過で、日大が地域住民向けに作成したチラシでも収支差額の累計について触れ、「このままの状態が続くと練馬光が丘病院だけでなく学校法人日本大学そのものが経営破たんということになりかねない」と窮状を訴えています。確かに日大練馬光が丘病院の赤字経営は常態化してきたため、平成22年度までの累積赤字は90億円。この数字だけ見れば、撤退もやむなしという見方もありうるわけですが、一方でこれまでの経過や今後の見通し等を考慮すれば、この決定には多くの疑問が残ります。
具体的には、平成21年9月、日大側から要請のあった建物賃借料免除や事務室賃借料の区負担、また、病院の経営改善努力や設備投資の実施、さらには、出来高払いから定額払いへの移行、ジェネリックの積極採用等によって、支出超過が年平均4.5憶円といわれていたものが、平成22年度には1億円まで縮小し、今年度は3億円から5億円の黒字を計上できる見通しが立っていました。
また、撤退すれば、2009年頃から行ってきたMR、CT、パックス、検査機器等の設備投資の10億円がムダになってしまうだけでなく、年間80億円の収入見込みを失うことになります。年間40億円を超える人件費を抱える組織としては、貴重な収入源まで失うことになり、新たな損失を吸収するため最低3年を要すると見方もあります。
さらに、金銭面だけでなく手続き面でも不可解な点があります。例えば、先に述べた平成21年9月の家賃免除等の支援要請から、わずか2カ月後の同年11月、日大の理事会は「平成23年3月31日を目処に光が丘病院から撤退する意思表示を区に示す」ことを決定しているのです。これは、今後も地域医療を担う前提で公金を投じ、追加支援に踏み切った区民や議会、行政を裏切るものと言わざるを得ません。
そして、地域医療を揺るがす大問題にもかかわらず、日大本部は現場職員や住民に対する説明会すら開かず、議会に対しても具体的な撤退理由や撤退によって生じる事態の収拾見通しも明らかにしていません。これらは一例にしかすぎませんが、今回の撤退は、理性的かつ合理的な判断によるものとは到底思えません。そこで、伺います。
信頼を大きく失ってまでこの時期に撤退するという理事会の決定から、区に伝わる平成22年2月までの空白の三か月間はなぜ生じたのでしょうか。また、区がこれを知った時点で、日大の決定を公表しなかった理由を改めてお聞かせください。さらに、区に最初の撤退意向が示された平成22年2月から、正式に日大の撤退が公表されるまでの約1年半の間に、撤退回避の建設的な話し合いはどこまで進捗していたのでしょうか、あわせてお答えください。
現在、後継の運営主体選定が佳境を迎えていますが、日大の撤退によって、深刻な影響を受けるのは、言うまでもなく区民です。一連の撤退劇にあきれ、なぜこのような事態を招いたかとう総括もなされないまま後継病院を探すことを、多くの住民が「良し」としないのはある意味当然といえます。日大練馬光が丘病院の歴史的な背景と地域への貢献度に対して、区の病院に対する関与あるいは支援のあり方が適正だったのかを検証しなければなりません。
日大練馬光が丘病院は、医師会立病院の経営破たんを受けて引き継いだという経緯がありますが、区に差し入れられた保証金は50億円。医療施設はそのまま引継いだものの、当初は集中治療室が開設できない等、建物そのものが大学病院使用となっていないなど悪条件の中で運営を始めました。平成3年に開設以来、経営は一度も黒字になったことはなく、診療報酬の相次ぐ引き下げで平成17年度頃から一層経営が悪化。その後、設備投資や経営改善努力によって何とか今日までやってきたという経過があります。
一方で、公立病院の運営受託とは大きく異なり、法人経営としての独立採算が基本で、闇雲な援助は避けるべきですが、ひとたび公的支援がなされた以上は、不採算部門の政策医療を継続させるため、診療科目別の原価計算に基づく赤字補てんを講じるなどの経営改善を実行すべきです。
しかし、日大側は、全体の赤字額について主張するものの、診療科目別の原価計算を示さないなど、適切な支援を受ける体制が不十分であったと言わざるを得ません。つまり、区がこれまで援助してきた総額約120億円分の工事や賃料免除等が、将来を見据えた長期経営にとって最も有効なものであったのか、十分な検証ができていないことになります。様々な視点から検証を行い、現実を踏まえた上で、はじめて有効な公募要件を提示できると考えますが、この点について基本的な考え方をお聞かせください。
日大練馬光が丘病院にかかっている入院患者や外来患者の最大の不安は、多くの医療関係者も指摘しているとおり、もし運営主体が見つかっても、政策医療とされる小児科、周産期、救急等のレベルを後退させなければ経営は到底できないという見通しですが、公募要項では、医療機能、救急医療、小児医療、周産期医療、災害時医療について「日大並み」のレベルを条件としています。この点について、これまでの病院経営、医療機関を取り巻く諸条件の現在および将来見通しなど、どのように精査された結果なのでしょうか。お聞かせ下さい。
また、公募要項には病床数について「現在の許可病床数342床を引き継ぐ」と明記されていますが、これを維持するためには、医師、看護師などの医療スタッフをどの程度集める必要があり、また日大からの人的な支援を受けることが可能なのでしょうか。もし、受けられない場合、現在の病床数を維持するための策はお持ちなのでしょうか。ご所見をお伺いします。
さらに、当初から土地建物については、無償貸与、保証金もなしと条件設定されていますが、こうした判断は、これまでの日大練馬光が丘病院に対する支援のあり方をどのように総括された上でのものなのか、併せてお伺いします。
この項の最後に、「日本大学医学部付属練馬光が丘病院の設置運営に関する基本協定書」で交わされた50億円の保証金について伺います。
基本協定書の第8条2項では、「大学が区に差し入れた保証金は、契約期間満了時において、区から大学に返還するものとする」とあります。また、契約期間については、公有財産貸付契約書の第3条において、「貸付の期間は、平成3年4月1日から平成33年3月31日までの30年間とする」とあり、今回の日大撤退は、契約の不履行であると考えられます。この点について、日大側は、民法604条を根拠に「20年間で病院建物の賃借関係は終了している」と主張しているようですが、平成3年の契約締結時には30年間の契約期間に合意しているだけでなく、その後、区からの支援策や委託を受け入れていることから、極めて一方的で不適切な主張と考えます。区としては、50億円の保証金について、どのように処理するおつもりか、現時点でのお考えをお聞かせください。
土屋ひとし公式ウェブサイト http://www.tsuchiya.jimusho.jp