夏休みが短縮される
昨日から練馬区議会第4回定例会がはじまりました。初日の本会議では区長の所信が表明されましたが、そのなかで「新学習指導要領の実施に伴う授業時数の確保について」が示され、来年度から区立小中学校の夏季休業日が5日間短縮され、7月21日から8月24日までとすることについて理解を求める発言がありました。この方針については、すでに9月24日の文教委員会でも報告され、また教育委員会発行の「教育だより」10月31日号でも記事になりましたが、本会議で示されたのは初めてです。
新学習指導要領は小学校は平成23年度から、中学校では平成24年度から全面実施されますが、来年度から移行措置として一部前倒しで実施されます。具体的には小学校1・2年生は1週間当たり2時間(年間68時間から70時間)、小学校3年生から中学校3年生までは1週当たり1時間(年間35時間)の授業時数が増え、国語、社会、算数、数学、理科、体育等が拡充されます。
教育委員会では増加する授業時数についてどのように対応するかについて、1.週当たりの授業時数を増やすこと、2.土曜日に授業を実施すること、3.長期休業日を短縮すること、の3つの案が検討され、その結果、1.については教員が子どもとじっくり向き合う時間や保護者との面談や教材研究等を行う時間が不足することになる。また、2.については学校週5日制の趣旨や社会において週休2日が定着していることから困難と判断し、夏季休業中に授業を行うことが最も妥当と判断したとしています。
学習指導要領とは、全国どこの学校でも一定の教育水準が保たれるように、教科ごとの目標や内容を文部科学省が定めるものです。新しい学習指導要領は今年3月に示されましたが、改定のきっかけとなったのは「ゆとり教育」の見直しです。近年、子どもたちの学力が低下していることが問題視され、その原因の一つに「ゆとり教育」があるということから、新学習指導要領で授業時数の拡充の方針が示されました。
今回の教育委員会の決定は、これに対応したもので、何らかの措置を取らなければならないのは仕方がないにしても、問題は決定までの過程にあります。
現在の夏休みの期間がいつ決められたかについて正確には知りませんが、少なくとも私の子どもの頃から夏休みは7月21日から8月31日までと決まっていました。夏休みは家族との交流はいうまでもなく、ラジオ体操や夏祭り、臨海学校やクラブ活動、児童サークルの合宿など、地域や学校の行事も数多く開かれ、これらは立派に地域文化、慣習として形作られてきたものです。したがって、夏休みが削られるということは、単に教育論にとどまらず、生活観にも関わる問題で、こうした意見は区民からも寄せられています。
教育委員会は、校長からの意見も聞いて慎重に検討したとしていますが、このような重要な問題について、当事者である子どもたちや保護者、あるいは地域や児童サークルなど学校周辺の団体から充分に意見を聞くこともなく、拙速に決めてしまうことには強い違和感をおぼえます。
また、今回の改定は「練馬区立学校の管理運営に関する規則」の改正によって行われるもので、制度上は条例改正のように議会の承認を得る必要がないため、9月24日に議会に報告されたときにはすでに決定事項として扱われていました。こうした教育委員会の対応には議員からも不満の声が上がりましたが、翌々日の26日には改正の手続きが終了し、再検討される動きもありません。
一連の教育委員会の措置は手続き上は何ら問題はないのでしょう。また、意見聴取や議論が充分に行われたとしても、同じ結論に至ったかもしれませんが、それでも私は、あえてこの問題についてもっと丁寧な議論が行われるべきことを訴えたいと思います。
前述したとおり、「1.週当たりの授業時数を増やす案」については、教員が放課後に子どもたちと向き合う時間が充分に確保できないなどを理由に採用されませんでしたが、そもそも、現場の先生方からは教育委員会などへの提出書類など事務作業に忙殺されて、現状でも充分にそうした時間が取れていないという声があがっています。また「2.土曜日に授業を行う」ことについても、学校週5日制を見直し、土曜日の授業を復活させるべきだという意見も少なからずあるわけで、今回の改定は、こうした現場の課題や制度上の問題など、教育についての多様な議論を呼び起こすきっかけになるはずです。
教育委員会にしても、文部科学省のくるくると方針が変わる「猫の目行政」に翻弄され、それはそれで気の毒な面もありますが、最も重視されるべきは、言うまでもなく現場の教育環境であり、子どもたちです。文部科学省や都から降りてくる方針を機械的にこなすのではなく、現場から積み上げられた意見や課題を国や都の施策に反映させていくことこそが求められており、そのためには、時間と手間がかかっても、出来るだけ多くの関係者から意見を聞く姿勢が必要だと思います。
土屋ひとし公式ウェブサイト http://www.tsuchiya.jimusho.jp
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