拙速な外環道の事業化
高速道路の建設計画を審議する「国土開発幹線自動車道建設会議」(国幹会議)が、港区のホテルオークラで27日に開催され、東京外かく環状道路(外環道)練馬・世田谷間を含む4路線が着工の前提となる整備計画路線に格上げされました。
国幹会議に先立ち、外環道延伸計画沿線7区市の住民が集まり、国土交通省前で抗議集会を行うとともに、沿線の区議・市議64名が署名した「東京外かく環状道路(外環道)整備計画格上げを行わないことを求める要望書」を国土交通大臣に提出、住民との十分な合意が得られていない現段階での「格上げ」を行わぬよう求めました。さらに直後に行われた記者会見では、沿線住民それぞれの立場から、地下水枯渇や大気汚染など様々な外環道計画に纏わる問題点が示されました。
国幹会議までの経緯は、異常なほど拙速なものでした。23日に沿線区市長意見交換会が開催され、東京外かく環状道路「対応の方針(案)」の(案)が取り外されて「対応の方針」になり、翌24日に国幹会議が突然招集され、27日の国幹会議では実質的な事業化が決定しました。沿線区市長意見交換会は当初27日に予定されていたものが急遽前倒しになったとされており、これが事実だとすれば、明らかに平成21年度年度補正予算案の国会提出をにらんだ動きと考えられ、「無理やり感」が否めません。
そもそも、1月19日に国交省・東京都から示された外環道「対応の方針(素案)」に対しては、沿線住民から強い反発がありました。外環道建設計画の問題点を話し合うために沿線各地で行われている地域課題検討会では、十分に住民の理解・納得が得られているとは言えず、青梅街道インターチェンジ周辺地域においてはいまだ地域課題検討会は開かれていません。
青梅街道IC計画地にあたる元関町1丁目町会は、対応の方針(素案)から、青梅街道IC部分の記述を削除するよう求める陳情書、請願書を練馬区と衆参両院に提出しています。これらを無視するかたちで、対応の方針が承認されたことは、「青梅街道ICの必要性の是非から話し合う」とした住民との約束を反故にするもので到底認められないばかりか、国幹会議で事実上の事業化がされたことは、計画段階での地域課題検討会が行われていないという点において、手続き上の重大な瑕疵があると言わざるを得ません。
国幹会議の場でも、準備期間がないままに拙速に会議が開かれたことや、B/C(費用対効果)分析や交通需要推計が会議の当日に示されたことなどについて、委員から不満の声が続出しました。外環道についても、住民の納得が得られていないことが指摘されたほか、今後交通需要が減少していくなかで、総額1兆6000億円(今回の国幹会議の試算では1兆2820億円)ともいわれる巨額の建設費を投じる意味合いや地方とのバランスの点でも疑問の声があがりました。
何よりも問題なのは、国幹会議が完全に形骸化していることです。多くの委員が指摘したように、国幹会議は高速道路の必要性を「議論」する場ではなく、政府が決めた方針を「追認」するだけの機能しか果たしていません。昨日の会議でも、基本計画を整備計画にする4区間と二車線から四車線化を目指す6区間のあわせて10区間すべてが一括議題とされ、個別の区間について話し合う場は設けられていませんでした。こうした中で、総額1兆5000億円を超える事業にゴーサインが出されたこと自体が国民不在といえます。
外環道は新たな局面に入りました。しかしながら、昨日の国交省答弁にあったように、今後も「誠心誠意沿線住民の声を聞く姿勢」、青梅街道ICについては「必要性の是非から話し合う姿勢」に、いささかの変化があってはなりません。
土屋ひとし公式ウェブサイト http://www.tsuchiya.jimusho.jp
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)










