練馬区では、区立中学校の選択制度を開始してから4年目になりますが、この間の制度の検証を行うために、今年1月「練馬区中学校選択制度検証委員会」が発足し、今日、第4回目の委員会が開催されました。
議題は、「1.中学校選択制度の検証について」、「2.中学校選択制度の改善に向けた提言について」の2点で、保護者・生徒、教員を対象としたアンケートに基づき、議論のたたき台として、以下のような中学校選択制度における成果と課題が事務局から示されました。
1.成果
①選択制度により、保護者・生徒の意思は概ね尊重されており、自分にあった学校を選べるようになっている。また、これにより多くの生徒が充実した学校生活を送っていると考えている。
②各学校は、ほとんどが特色・魅力ある学校づくりに向けた取り組みを行っており、教員の多くが学校の活性化が進んでいると考えている。
③生徒の多くは、広い地域の友人が増え、行動範囲が広がったと考えている。
④入学する学校の選択肢が増えることにより、保護者・生徒の多くが学校教育への関心が高まると考えている。
⑤保護者・生徒の多くは、自ら学校を選ぶことにより、学校への愛着心を持つようになると考えている。
⑥通学区域外からの入学者の少ない学校では、教員の多くが、選ばれる学校に向け、教職員の意識が変わったと考えている。また、保護者・生徒のニーズが明確になり学校の改善が進んだと考えている。
2.課題
①選択制度により、各学校の生徒数の格差が広がっている。これによる影響として、次の課題が生じている。
ア.学級減による行事等での活気の減少、学級増による施設面の不足、狭隘化
イ.学級減に伴う教員減による教科指導・部活動指導等の運営の困難さ、教員減に伴う各教員の仕事量の増加
ウ.生徒数の減少による部活動の人数の減少、部活動数の増加の困難さ
②教員の多くが、保護者・生徒の、地元の学校という意識が薄れ、愛校心が育たないと考えている。
③通学区域外からの入学者の多い学校では、教員の多くが、通学区域外から通学する生徒が多いために、地域と学校のつながりが弱くなったと考えている。
④教員の多くは、通学区域外の生徒について、家庭や小学校との連携が取りにくくなったと考えている。
⑤保護者・生徒、教員の多くが、通学距離が長くなり、安全性に不安を感じている。
⑥保護者・生徒、教員の多くが、噂や風評等により学校が選択されるようになっていると考えている。
⑦保護者・生徒が学校を選択するに当たっては、地域・友人等の情報が最も参考とされており、中学校案内冊子やホームページは低い割合である。また。学校生活の生徒の様子や、特色ある教育活動の詳細な内容について情報の充実が求められている。
<学校の地域との関係>
以上の成果と課題については、概ね委員の同意が得られたところですが、課題の②の愛校心と地元意識との関連については、私立中学の例からみても必ずしも学区外だから愛校心が育たないという見方には疑問視する声が上がり、③の地域と学校とのつながりという点でも、通学区域=地域社会という見方は必ずしも一致せず、さらに分析の必要があるとの指摘がありました。
ただ、現実の問題として、練馬区ではすでに3つの学校で、通学区域外からの入学者が全入学者の6割を超える状況となっており、このようなケースでも地域性を維持できるのか、あるいは、別のメリットを重視して地域性にはあえて拘らない姿勢を取るのかについては、今後、議論が必要だと感じました。
<抽選の問題点>
選択制による各学校の受け入れ人数は原則として40人(1学級)で、必要に応じて20~30人に減員、60人に増員していますが、希望者が受け入れ人数を上回った場合は抽選を行っています。抽選を行った学校は、平成17年度4校、18年度3校、19年度5校、20年度3校でしたが、私立中学入学などで辞退した生徒を除くと、最終的に希望校に入学できなかったのは、それぞれ、49人、77人、73人、82人となっています。
抽選については、学校施設の受け入れ態勢、過度な集中を避けるためにやむを得ない措置ではありますが、希望者の要望を最大限に考慮し、公平性を確保する意味でも、可能な限り希望者を受け入れる制度づくりが望まれています。
<部活動の充実>
選択制を利用した理由については、「小学校の友人と同じ学校に行きたい」や「通学の便が良い」のほか、「希望する部活動がある、部活動が活発である」が目立っています。友人関係や通学上の問題は、通学区域の変更など制度的に困難な面がありますが、部活動については学校や地域の努力によって改善が期待でき、外部指導員などの積極的な登用による部活動の活性化が求められます。
<特色のある学校づくり>
学校選択制導入の大きな柱の一つとして、それぞれの学校が創意工夫して「特色のある学校づくりを目指す」という目標がありました。ただ、アンケートの結果から判断すると、制度を利用した理由としては前述した友人関係、通学の利便性などが主なものであり、「学校の教育方針(4.3%)」や「学校の伝統や校風(7.3%)」など、学校の特色を示す項目に関してはあまり重視されていない傾向があります。
確かに、公立学校においては、一定の教育水準を維持しつつ推進すべきものであり、また、教員の移動もあることから、私立のように突出した特色を出すことは困難といえますが、単に物理的な面をカバーするだけでは、制度のメリットを最大限に活かしているとはいえず、特色や魅力ある学校づくりという部分での取り組みがもっと必要だと考えます。
授業の改善はいうまでもありませんが、各種行事や総合的な学習の時間の工夫、長期休業時の学習指導、部活動の活発化を進め、生徒数の少ない学校については、少人数のメリットを活かしたきめ細かい指導をすることによって、大規模校にはない特色をもつことができると考えます。
制度導入から4年目を迎え、様々な成果と課題が浮かび上がってきましたが、自治体によっては制度の見直しが行われているなかにあって、練馬区においては、概ね制度の存続について合意が得られているように感じます。制度のメリットを最大限に発揮し、より良い学校づくりをしていくために、今回の検証の意義は大きく、今後も活発な議論が期待されます。
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