文教委員会視察
私が所属している練馬区議会文教委員会の視察が10月30日、31日の1泊2日で行われ、和歌山県の2市(田辺市、和歌山市)を訪れました。
初日に訪れた田辺市は、紀伊半島の南西に位置し、観光地として有名な白浜に隣接しています。平成17年5月に田辺市、龍神村、中辺路町、大塔村、本宮町の1市、2町、2村が合併して新「田辺市」として生まれ変わり、人口約8万4千人の都市となりました。面積は和歌山県の約22%を占め、県内で一番の広さがあります。農林漁業が盛んで、特に「紀州梅」、「備長炭」、「みかん」が特産品として知られており、弁慶生誕の地としても有名です。
田辺市では「備長炭記念公園」、「田辺市役所」、「会津小学校」等をまわりましたが、この日のメインは総合型スポーツクラブの視察でした。
総合型スポーツクラブは、文部科学省が推進している「スポーツ振興基本計画」に基づく取り組みで、「総合型」とは、3つの多様性(種目、年代、技術)を包含していることを意味します。このような多様性をもち、日常的に拠点となる施設を中心に、地域住民個々のニーズに応じた活動が、質の高い指導者の下で行うことを目指しています。
今回は、田辺市内で最も先進的な取り組みを行っている「NPO法人会津スポーツクラブ」を見学しましたが、同クラブは平成11年の計画書提出にはじまり、運営委員会、指導者研修会等々を経て、平成14年にサークル部門10種目、スクール部門4種目の計14種目でスタートしました。
活動拠点となっている会津小学校は、田園地帯の広がるのどかな場所にあります。現地に到着した時には「田舎の学校にしては、そんなに校庭は広くないな」という印象でしたが、校舎の裏側にも大きな校庭があることを知り、自分の認識の甘さを思い知りました。この日は「陸上&なわとび」の活動が行われていましたが、会津小学校の児童を中心に地域の20人ほどの子どもたちが元気に飛び跳ねていました。
和歌山県は野球が盛んなところで、高校野球でも箕島や智弁和歌山など強豪校がひしめいていますが、表の校庭で出合った少年野球チームの子どもたちに聞くと、週に6回も練習しているということで、都会との環境の差をまざまざと感じさせられました。東京では公立の高校が甲子園に出ることは滅多にありませんが、スポーツクラブの理事長に聞いたところ、和歌山県では県立を含めた半数近い高校が甲子園を経験しているということで、このような層の厚さはやはり子どもの頃からの恵まれた環境があってこそなのでしょう。
とはいえ、日本の子どもたちは、野球なら野球だけ、サッカーならサッカーだけというように、種目が偏りがちです。特に子どものころは、複数の種目を経験した方が身体の育成のためにも、自分に何が向いているかを知る意味でも望ましいとされ、スポーツ大国のアメリカでは、複数の種目を経験させるのが普通です。日本では複数のプロスポーツから声をかけられたということは聞いたことがありませんが、アメリカではMLB(野球)とNFL(アメリカンフットボール)など複数の種目で同時にドラフトされることも決して珍しいことではありません。もちろん、プロとしてスポーツをする人はごく限られていますが、体力の向上が主目的でスポーツをしている大多数の人たちにとっても、日本的なやり方は改善されるべきでしょう。
会津スポーツクラブでも同様の悩みは抱えているようで、とくに既存の少年野球チームなどとの連携が大きな課題となっているようです。また、「総合型」の3つの理念のうち、「世代」という観点では、会員が小学生と高齢者に偏っていて、とくに高校生から中年層までの取り込みが難しく、この他にも、「スポーツ関連団体とのネットワークづくり」、「指導者等の人材不足(人材育成)」、「受益者負担の理解(資金不足)」、「学校の部活動との連携」などが課題として挙げられています。練馬区でもSSC(練馬区総合型地域スポーツクラブ)を支えるNPOの6つの団体が活動していますが、農村部と都市部の違いこそあれ、抱えている悩みは同じようです。
日本では、伝統的に学校(部活)中心のスポーツが主流でした。しかしながら、少子化の影響から学校単位でスポーツクラブを維持することが困難になっており、最近では、複数の学校にまたがる部活やクラブチームが増えています。チーム編成のためには、そのこと自体は奨励されるべきですが、「種目が偏りがちになる」、「中間年齢層にスポーツをする機会がない」という本質的な問題は解決されていません。総合型スポーツクラブはこの一助として発足したはずですが、超えるべきハードルはまだまだ多いというのが現状です。
土屋ひとし公式ウェブサイト http://www.tsuchiya.jimusho.jp
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