NPO

2007年11月 2日 (金)

文教委員会視察

 私が所属している練馬区議会文教委員会の視察が10月30日、31日の1泊2日で行われ、和歌山県の2市(田辺市、和歌山市)を訪れました。

Pic_0064  初日に訪れた田辺市は、紀伊半島の南西に位置し、観光地として有名な白浜に隣接しています。平成17年5月に田辺市、龍神村、中辺路町、大塔村、本宮町の1市、2町、2村が合併して新「田辺市」として生まれ変わり、人口約8万4千人の都市となりました。面積は和歌山県の約22%を占め、県内で一番の広さがあります。農林漁業が盛んで、特に「紀州梅」、「備長炭」、「みかん」が特産品として知られており、弁慶生誕の地としても有名です。

Pic_0066  田辺市では「備長炭記念公園」、「田辺市役所」、「会津小学校」等をまわりましたが、この日のメインは総合型スポーツクラブの視察でした。

 総合型スポーツクラブは、文部科学省が推進している「スポーツ振興基本計画」に基づく取り組みで、「総合型」とは、3つの多様性(種目、年代、技術)を包含していることを意味します。このような多様性をもち、日常的に拠点となる施設を中心に、地域住民個々のニーズに応じた活動が、質の高い指導者の下で行うことを目指しています。

Pic_0083  今回は、田辺市内で最も先進的な取り組みを行っている「NPO法人会津スポーツクラブ」を見学しましたが、同クラブは平成11年の計画書提出にはじまり、運営委員会、指導者研修会等々を経て、平成14年にサークル部門10種目、スクール部門4種目の計14種目でスタートしました。

Pic_0096  活動拠点となっている会津小学校は、田園地帯の広がるのどかな場所にあります。現地に到着した時には「田舎の学校にしては、そんなに校庭は広くないな」という印象でしたが、校舎の裏側にも大きな校庭があることを知り、自分の認識の甘さを思い知りました。この日は「陸上&なわとび」の活動が行われていましたが、会津小学校の児童を中心に地域の20人ほどの子どもたちが元気に飛び跳ねていました。

 和歌山県は野球が盛んなところで、高校野球でも箕島や智弁和歌山など強豪校がひしめいていますが、表の校庭で出合った少年野球チームの子どもたちに聞くと、週に6回も練習しているということで、都会との環境の差をまざまざと感じさせられました。東京では公立の高校が甲子園に出ることは滅多にありませんが、スポーツクラブの理事長に聞いたところ、和歌山県では県立を含めた半数近い高校が甲子園を経験しているということで、このような層の厚さはやはり子どもの頃からの恵まれた環境があってこそなのでしょう。

 とはいえ、日本の子どもたちは、野球なら野球だけ、サッカーならサッカーだけというように、種目が偏りがちです。特に子どものころは、複数の種目を経験した方が身体の育成のためにも、自分に何が向いているかを知る意味でも望ましいとされ、スポーツ大国のアメリカでは、複数の種目を経験させるのが普通です。日本では複数のプロスポーツから声をかけられたということは聞いたことがありませんが、アメリカではMLB(野球)とNFL(アメリカンフットボール)など複数の種目で同時にドラフトされることも決して珍しいことではありません。もちろん、プロとしてスポーツをする人はごく限られていますが、体力の向上が主目的でスポーツをしている大多数の人たちにとっても、日本的なやり方は改善されるべきでしょう。

 会津スポーツクラブでも同様の悩みは抱えているようで、とくに既存の少年野球チームなどとの連携が大きな課題となっているようです。また、「総合型」の3つの理念のうち、「世代」という観点では、会員が小学生と高齢者に偏っていて、とくに高校生から中年層までの取り込みが難しく、この他にも、「スポーツ関連団体とのネットワークづくり」、「指導者等の人材不足(人材育成)」、「受益者負担の理解(資金不足)」、「学校の部活動との連携」などが課題として挙げられています。練馬区でもSSC(練馬区総合型地域スポーツクラブ)を支えるNPOの6つの団体が活動していますが、農村部と都市部の違いこそあれ、抱えている悩みは同じようです。

 日本では、伝統的に学校(部活)中心のスポーツが主流でした。しかしながら、少子化の影響から学校単位でスポーツクラブを維持することが困難になっており、最近では、複数の学校にまたがる部活やクラブチームが増えています。チーム編成のためには、そのこと自体は奨励されるべきですが、「種目が偏りがちになる」、「中間年齢層にスポーツをする機会がない」という本質的な問題は解決されていません。総合型スポーツクラブはこの一助として発足したはずですが、超えるべきハードルはまだまだ多いというのが現状です。

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2006年9月 5日 (火)

ねりま子育てネットワーク/子育て支援に望むこと

 ねりま子育てネットワークの交流会に初めて参加させていただきました。テーマは「子育て支援に望むこと」。
 私の妻が、長男(現在小5)の「公園デビュー」のとき以来お世話になっている方からお誘いをいただいたのですが、都合により私が「代理出席」。会場になった「練馬女性センター」という名称からして気後れし、会場に入ってみると、行政から参加された方はいらしたものの、案の定男性は私1人。子育てに非協力的な夫たちへの批難を一身に浴びそうな気がして、ビクビクしておりました。
 会が始まってみると、私のそんな浅はかな思いは全く杞憂でした。子育てに関する「アンケート」の中間報告と自己紹介があり、その後はフリートーク形式で進行しましたが、私のつたない意見というか「世迷言」にも耳を傾けていただき、何よりも自分の妻以外から子育てに関する様々な「おもい」を拝聴できたことは大きな収穫でした。
 公共の育児・保健施設の利用の問題、子育て情報の開示のしかた、子どもの遊び場の確保、障害をもつ子どもへのケア等々、話題は多岐にわたりましたが、全体を通して強く感じたことは、程度の違いこそあれ、子育て中のほとんどのお母さんが「孤立感」を感じているということです。
 「知らない人が声をかけてくれただけで嬉しかった」。。。引越し先の誰も知らない環境のなかで孤独を感じたという方もいました。障害児をもつお母さんからは、社会の「無知」がもたらす差別意識についてもお話がありました。
 「施設がどんなに立派になっても、制度がどんなに拡充しても、要は人」という声がありました。まさにその通りだと思います。地域社会の子どもに対する暖かい視線が母親を楽にさせ、母親の穏やかな気持ちが子どもに良い影響を与えるのだとすれば、制度云々以前に、誰にでもすぐにできる「子育て支援」だと思います。

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2006年8月11日 (金)

「節約図書館」福島県矢祭町の取り組み

 矢祭町は福島県の最南端に位置する人口約7000人の小さな町ですが、「自立できるまちづくり」をめざし、平成13年に「合併しない宣言」をしたことで知られています。
 矢祭町には集会所の一角に図書室はありましたが、図書館はありませんでした。昨年度の町民アンケートでも図書館建設を望む声が高かったのですが、町には新設の財源がありませんでした。そこで築40年の柔剣道場を改修して、3万冊余りを収蔵できる図書館にすることを決めました(以上、8/11朝日新聞朝刊参考)。
 さらに、図書館の建設だけでなく、蔵書に関しても「もったいない運動」を展開し、町のホームページなどを通じて全国から寄贈を呼びかけ、現時点で7万冊もの本を集めました(送料も送り主負担という徹底ぶり)。仕分け作業についても住民ボランティアが行い、通常本体工事だけでも10数億円かかる図書館を、総事業費1億2千万円程度で立ち上げられる見込みです。
 矢祭町の取り組みは、事業費の節約はもちろんですが、地域住民が事業の計画段階から関わり、まさに「手作りの図書館」を作っているところに価値があります。練馬区でもNPOなどは同じような試みをしていますが、まだまだ作ったものを提供するだけのものが多いのが現状です。
 平成8年に開園した「区立立野公園」は地域住民がアイディアを出し合って、計画を白紙から作り上げました。また、開園後には利用者の話し合いによって、「犬の入園」ができるようになり、清掃も週3回地域の皆さんが行っています。
 都市部では地域への帰属意識が希薄で、参加を求めることは容易ではありませんが、計画段階から参加し作り上げたものには愛着が沸きます。学校など既存の施設についても運営に「参加」することで、地域に親しまれ、信頼される施設にしていくことができると思います。

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2006年8月 2日 (水)

子どもの居場所づくりとNPO

 8月1日、民主党本部において「子どもが生きる地域社会を考える(子どもの居場所づくりとNPO)」と題するシンポジウムが開催されました。パネリストは三沢直子氏(明治大学文学部心理社会学科教授)、仲川元氏(奈良NPOセンター事務局長)、増田良枝氏(フリースクール全国ネットワーク代表/越谷らるご代表)、水岡俊一参議院議員。コーディネーターは菅原敏夫氏(財団法人地方自治総合研究所研究員)という顔ぶれです。
 まず、基調講演をされた三沢直子氏は1970年代半ばからの子育てに関わる社会現象の変遷を次のように示しました。
●70年代半ば~:思春期の子どもたちの家庭内暴力
●80年代半ば~:IQだけが高くEQ(感情指数)が育っていない新入社員の増加
●90年代~:親の割を果たせない親の増加
●97年~:低学年の学級崩壊
 臨床心理学を専門とする三沢氏は、子どもたちの描く家や家族の絵によって、子どもたちの心理を探る研究をされてきました。1981年と97年・98年の調査比較では、攻撃的・破壊的、非現実的、バランスを著しく欠いた絵など、従来は統合失調症の患者にしかみられなかったものが多くみられ、本来、年齢とともに発達していくはずの「統合性(目的と計画をもち、社会的規範と状況に応じた適切な判断をしつつ、言動と感情をコントロールする動き)」が小学校4年生を境にむしろ後退していることが明らかになったということです。統合性は脳の前頭連合野によって司られているとされますが、この発達は幼少期の社会関係(両親や親類、地域、同世代の子どもとの関係)が最も重要な要素のようです。
 日本では1960年代以降急速に核家族化が進み、社会関係も希薄になり、父親も長時間労働や単身赴任などで子育てに参加せず、母親が子育てを一手に背負うことになってしまいました。しかも、そうした母親自身の多くが核家族で育てられ、赤ゃんを抱いたこともなければ、子育てのトレーニングを受けたこともない-このような連鎖のなかで、統合性を欠いた子どもが増えるのはむしろ当たり前というのが三沢氏の見解です。
 「子ども一人育てるには、村中の人が必要」というアフリカのことわざがあるそうですが、「子どもが家族だけではなく、多様な人間関係の中で育つことができるような環境づくりが必要」として講演をまとめました。
 
 仲川元氏の報告では、奈良県の子育てに関するNPOの具体的な活動例が示されました(詳しくは奈良NPOセンターホームページ)
 興味深かったのは、文部科学省による地域子ども教室推進事業-子どもの居場所づくりの派生効果として、もともとは介護やまちづくり、障害者福祉などを目的としていたNPOや町内会・自治会などの活動が、子育て支援とリンクしていくことで、それぞれの組織の活動の幅が広がっていくことです。その典型的な例として同氏が立ち上げた「もうひとつの学び舎」事業を挙げていますが、地域子ども教室推進事業は2005年から07年までの3ヵ年計画で、これをらに充実させるかたちで、継続させていくことが求められています。

 増田良枝氏の報告は、自らが代表を務める「越谷らるご」の活動が中心で、ここでは小学校1年生以上の不登校の子どもや若者に、「年齢の近い仲間と出会い、ともに話し、活動し、学び合う場」を提供しています。同氏は、「公教育に適応できない子どもは特殊な存在ではなく、枠組みにとらわれず多様な教育のひとつのかたちとしてフリースクールが認知されるべき」ということを強調し、資金面をはじめフリースクールに対する公的支援を強く求めています。

 「子育ては母親がするもの」という考え方は昔から根強くあったのでしょうが、当時は地域が子育てを支える仕組みが自然に存在していました。いまとなっはその感覚だけが残り、育児ノイローゼなどというと「最近のお母さんは甘い」という精神論で片付けられてしまいがちで、子育てに関しては高齢者介護のように社会で支える仕組みが認知されているとはいえません。しかし、考えてみれば介護保険制度を導入する際にも、一部の政治家や識者から、家族的価値の崩壊や「自分の親を自分で面倒見なくてどうする」という精神論がいわれました。そういう意味では、必要な法改正やシステムづくりをするためには、世代間を超えた子育てに対する意識改革が、まず必要なのだと思います。
 最後に、「子どもたちの様々な問題は子どもたちに責任があるのではない。この社会が抱えている問題が子どもたちに現象としてあらわれているのだ」という仲川氏の言葉を書き添えておきたいと思います。

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